親父の会社なんて継いでたまるか!!
- 2018.11.15
- 仕事

こんなツイートをしました。
中小企業庁からこんなお手紙が来ました。
うちもそうですが、零細企業の後継者不足は本当にやばい。「2025年頃までの10年間の間に、累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われるおそれがあります。」
やばい! pic.twitter.com/B7FuLsMZu4
— イナダユウ@相互フォロー (@inadayuu) 2018年11月15日
僕が働いているのは、父が経営する建設系の零細企業ですが、後継ぎはまだ未定です。
「おい、お前が継ぐんじゃないのかよ!」とツッコミが来そうですが、僕は継ぐ気はありません!(キッパリ)
細かいことは下で書いていきますが、親の零細企業なんてついでもそんなメリットが無いんですよ。
僕と同じように、家業を継いでたまるかという後継者候補(と見られている人)は、全国にめちゃめちゃ多いと思います。
「社長」もピンキリ
会社経営に関わっていない人から、「会社を継いで社長になれるっていいじゃん!!」とよく言われたりします。
しかし社長ってだけで、お金持ちになれたり、なんだかすごい人になれるというのは、はっきり言って会社によります。
中小零細企業なんて半分以上が赤字状態ですから、むしろ普通のサラリーマンの方がまだましってことも多いんですよね。
それに加え、仕事は無限にあるし、いろんなトラブルが自分の責任として降ってくるし、資金繰りが上手く行かず手当たり次第にお金をかき集める、なんてこともしないといけないかもしれない。
「社長」と呼ばれることで気分は良くなるかもしれませんが、それと比べ物にならないほどの重圧が社長には降り掛かってくるのです。
継ぎたくない理由①「債務超過」
それではここからは、僕が父親の会社を継ぎたくない理由です。
個人的な話も出てくるかもしれませんので、その点はご容赦ください。
ただ、僕みたいな立場の人には、結構当てはまることも多いんじゃなかと思います。
1つ目は債務超過であること。
債務超過(さいむちょうか)とは、債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態。 つまり、資産をすべて売却しても、負債を返済しきれない状態である。 法人及び相続財産の破産手続開始の原因である。(Wikipedia)
会社を始める時は何百万とか資本金を用意してスタートするのですが、毎年の損失が積み重なって、その資本金を食いつぶしてさらにマイナスになった状態です。
つまり債務超過の会社を引き継ぐことは、資産的に見てマイナスを引き継ぐことだという意味です。
うちの場合は債務超過が1000万円くらいあります。
会社を引き継ぐということは、1000万円の負債を引き継ぐと言うことです。
普通に考えて、そんな会社継ぎます?
債務超過企業の割合(従業者規模別)
これは債務超過の企業の割合。(10年ちょい前のデータですが)
地場の小さな会社なんて、社員が多くてせいぜい20人くらいなものです。
10人以下がダントツで多い。
となると、1/4~1/3くらいが債務超過なんですねー
これを見ると、後継者不足問題が根深いことが分かりますね。
継ぎたくない理由②「やりたいビジネスじゃない」
1番目の問題が解消されても、おそらく「やりたいビジネスじゃない」というところで、僕はこの会社を継がないでしょう。
元はと言えば、この会社は父が自分で作った会社。
父は自分のやりたいようにやっていたら、いつの間にか会社になっていたんですね。
父にとっては天職だったのかもしれません。
しかし、残念ながら僕にはあまり興味がなかった。
好きでもないビジネスを社長としてやっていくなんて、これはけっこう苦痛だと思うんですよ。
父も好きなことをやって会社を作ったのだから、僕も同じように好きなことをやっていいはずです。
父の人生は父の自由。僕の人生は僕の自由なんです。
うん、そうだそうだ。
継ぎたくない理由③「儲かりそうな業界じゃない」
やりたいビジネスじゃないにしても、まだ儲かるビジネスならやってもいいかなーと思うんですが、残念ながらそんなに儲かるビジネスではありません。
地場の小さな建設系の会社がどんな仕事をしているかと言うと、多くは下請け仕事です。
下請け仕事なんて、本当に薄利なんです。
とは言え、うちの会社は幸い、元請けでの仕事も1/3くらいはあります。
まだマシだとは言え、それでもあまり儲かっていないことには変わりありません。
そして建設系の仕事ってけっこう複雑なんですよね。
土木や建築の知識がないと見積もりもかけないし、材料や作業員などいろいろと必要になってくるので原価も見えづらいです。
だから案件を回していくだけでもけっこう大変なんです。
いま僕は通信の大学に通いながら、建築の免許を取ろうとしていますが、最高にコスパ悪いなーと思いながらやっています。笑
継ぎたくない理由④「社内がぐちゃぐちゃ」
多分これは零細企業あるあるなのですが、色んな意味で会社の中がぐちゃぐちゃです。
まず事務所の中が散らかっています。
どこに何があるのかなんて分かるはずもない。
そして、経理情報・顧客情報など、会社の核になるデータもめちゃくちゃです。
会社経営に興味がなく、自営業の延長で社長をやってしまうと、こうなります。
それがうちの場合、30年も積み重なっていますからね。
1年働いたくらいでは、何が何やら分かるはずもない。。
これを零細企業あるあると言っているのは、この辺を最低限やっている会社は、零細企業を抜け出しているはずだからです。
東京にいる時も含め、いろいろな会社を見てきましたが、小さい会社ほど散らかっているものです。
こんな訳もわからない状態を引き継ぐくらいだったら、ゼロから組み立てていったほうが絶対簡単だと思います。
しかし、父はそれをもったいないというんですよね。
(片付けられない人がよく言うセリフ)
一応、メリットも言っておくと、、
悪いところばっかり言うのも不公平な気がするので、僕が感じている会社を継ぐメリットも書いておきます。
リスクが減る
「リスクが減る」というのが、僕が実家の会社に戻った理由です。
何のリスクかと言うと、社長である父が急死したときのリスクです。
もしそうなってしまった時に、僕は長男なのでまわりの人から後継者としてみられてしまい、その後の処理を期待されてしまうと思います。
僕はまじめな性格なので、父のせいで取引先に迷惑をかけてしまうのは避けたいと、頑張っちゃうと思うんですよね。
無視できる性格だったら良かったんですけど。
そして何も準備をせずに、急に後処理を始めると、相当みにくい感じになると思うんですよ、僕。
そんなテンパることになるのは避けたいと思ったので、いまから準備をしています。
だって考えてもみてください。
東京で働き、そこそこ出世もして、結婚もして子供も出来た35歳。
そんな時にこんな事態になったら人生狂いますよね。
父が事業をやっている時点で、このリスクを背負っていることに気づきました。
なので20代という、自由がききやすい時期にこのリスク処理に動いているのです。
顧客がすでにいる
事業をする上では、顧客がすでにいるというのは非常にいいと思っています。
ここは素直にいいと思えるメリットです。笑
独立した人の話を聞いていると、顧客を見つけるのは本当に大変みたいです。
それに比べ、30年もやっていれば、既存のお客さんだけで結構いるんですよね。
うちは過去の顧客のリスト化が出来ていないので、こっちから新商品の連絡などはしませんが、それでも過去のお客さん自ら連絡をくれることが意外とあるんです。
親戚への受けがいい
家業を継ぐと、親戚の受けがいいです。笑
冗談みたいに言っていますが、これが馬鹿にできません。
特に田舎の人は、家業は息子が継ぐものだと思っています。
だから息子が会社を継がず、倒産したなんて話になれば、親戚から相当バッシングがくるなーとは思うんですよ。
これも無視すればいい話なんですが、「親戚」という微妙な距離感の人たちとの関係は、けっこう考えちゃうんですよね。
「社長」という肩書が得られる
取引先などから「社長」と呼ばれるのは、割と気分のいいものだと思います。
なんか独特のいい響きがありますよね。
そう呼ばれるだけで、自分がすごくなったような気がします。
まあ、それにはるかに見合わないくらいのデメリットがあるとは思いますけどね。
とりあえず「社長」と呼ばれたい人は、後継者になるのもありなのかと。
まとめ
これまで9割以上の中小企業で、後継者は親族がやっていたみたいです。
だけどうちみたいな小さい企業の後継者は、おそらく継ぎたくて継いだんじゃないんだと思います。
父親から無理やり継がされたとか、そういう運命だと学生時代から受け入れていたか、そんな事情があったんじゃないでしょうか。
うちは幸い、僕の弟が継ぐことに意欲を見せているのでその方向ですが、実際に会社に入っていろいろ見てしまうと、心変わりしてしまうかもしれません。
そんなことがないように、いまこうして僕が会社に戻り、いろいろと整理しているという事情はあるのですが。。
行政では、親族以外に後継者になってもらおうと、色々とやっているみたいです。
しかし、零細企業なんて債務超過の会社がけっこうな割合いますから、そういう企業に親族以外の後継者は現れないでしょう。
債務超過の企業なんて倒産した方がいいという意見もありますし、僕もそれには同意します。
だけど倒産したあとに、その地域でその事業を担う会社がもういなくなってしまうという状態までなっています。
なかなか難しい問題ですね。
僕も関係のある身分なので、今後も無視できません。
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