モヤモヤのない生き方を見つける(書評『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』)

「自己分析」というものを久々にやってみようと、八木仁平さんの『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』という本を手にとってみました。
僕自身、自分で稼ぐことができてきて、次の段階として「自分は何がやりたいんだろう?」と考え始めていたからです。
就活の時も分厚い自己分析の本をやったし、社会人になっても迷ったときには自己分析をガッツリやってたので、自己理解はしてきた方だと思います。
今回はこの本について書いていきたいと思います。
この本のいいところ
この本の良いところは、ワークから「やりたいこと」を見つけるまでが、非常に論理的に成り立っていることです。
普通の自己分析では、自分の長所や好きなことはわかっても、どう仕事につなげるのかが曖昧なものが多いように感じます。
無数に出た、好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、苦手なこと、価値観、トラウマなどをみて、自分を理解できた気にはなりますが、じゃあそれがどういう仕事になるのかは見当もつきません。
無数にある、自分のすべての性質を全部満たすなんて、無理な話です。
それがこの本の中では単純化され、仕事へつながるように書いてあります。
具体的には自分の性質を、「大事なこと」「得意なこと」「好きなこと」に分けて考え、それらの掛け合わせで理想の仕事を見つけます。
ガッツリ自己分析をやってきた身からすると、正直抜け落ちてしまっているものも多いのではないかと感じます。
人間の性格って3つに分けられるほど単純なものではないです。
しかし、その超複雑な「自己」を完全に満たす仕事を探すことがそもそも困難な話なので、これくらい単純化して、はやく自分探しから開放されたほうが、人生全体としてはプラスになるのだと思いました。
この本にも書いてありましたが、ここでの自己分析がゴールではなく、自己分析の結果見つけた仕事を初めて、別の感じる事があって、修正して、、、の試行錯誤の繰り返しが必要なのだと思います。
心理学的に完璧な自己分析の本ではありませんが、実践的なメソッドとしてとても意味のある内容だと感じています。
大事なこと
この本の中では自分の性質を「大事なこと」「得意なこと」「好きなこと」に分けて考えています。
これらを導き出すワークの説明は本に任せますが、それらの意味について触れていきたいと思います。
「大事なこと」とは価値観であり、「自分はこういう人生を送りたい」「人にこんな影響を与えたい」ということです。
例えば「夢中」という価値観の場合、「夢中になりながら日々を過ごしたい」「夢中になれる人々を増やしたい」というような考え方です。
やりたいことを考える上でちょっとずれる感じもありますが、この価値観から外れてしまうと「あれ、自分って何がしたいんだっけ?」となってしまいます。
やりたいことを考える上では最上の要素です。
得意なこと
「得意なこと」は自分が無意識な思考・感情・行動のパターンのことを言います。
一般的に言われる「得意なこと」とは少し違った定義で、本の中では「才能」とも言いかえられています。
例えば、私にとって「効率的な仕組みを作ること」はこの得意なことに当たります。
何かをやっている時に、無意識に効率的な方法を考えていて、それが自動で回るように仕組み化しようとしています。
人によっては、そんな工夫をしながら物事を進めるのは大変だし、、と思う人もいると思うので、これは私にとっての「得意なこと」で「才能」と言えます。
この「得意なこと」をやっていると充実感が得られますが、反対の「苦手なこと」をやっていると疲労感が募ってきます。
またここで言う得意なことは「スキル」とは違います。
「スキル」は技術として身につけるものですが、「得意なこと」「才能」はあくまでも無意識のクセのようなもので、自分の性質のことを言います。
好きなこと
「好きなこと」は興味・関心を感じる分野のことで、一般的に言われるのとほぼ同じ意味です。
注意するところとしては、「役に立つから好き」というのは、ここで言う好きなことにはなりません。
英語、プログラミング、投資、経営学、などは、一度疑う必要がありそうです。
無条件に好きと感じることが重要です。
何も考えず「やりたいこと」を探していると、例えば映画が好きだから映画製作会社に入ろう、なんてことになってしまいがちですが、これは「好きなこと」しか見ていない結果と言えます。
入社したけど映画製作の現場には配属されず、人と話すのが苦手なのに営業の部署に入ってしまったら、「こんなつもりじゃなかった」と思うでしょう。
そうならないためにも上記の3要素をしっかり考える必要があります。
要素を掛け合わせる
自分の3要素についてリスト化できたら、それらをかけ合わせていきます。
まず「得意なこと」と「好きなこと」を掛け合わせることで、「やりたいこと」が導き出せます。
得意なことは「人と話して説得すること」、好きなことは「映画」であれば、映画製作会社で映画を売り込む営業マンは適していると言えます。
好きなことは同じでも、例えば人と話すことは苦手で「細かいところまで作り込むこと」が得意であれば、営業ではなく映画製作の現場で働くことが適しています。
ざっくり言うと、好きなジャンルで、ストレスのない充実感の得られる仕事をしていれば、楽しく働けるよね、というイメージです。
この「やりたいこと」に「大事なこと」を掛け合わせることで、「本当にやりたいこと」が見つかると言います。
映画製作の場合、「大事なこと」として「情熱を持って生きる」があると、作る映画が夢や情熱を与えるようなものだと、人々を情熱的にできるのでとてもしっくりきます。
そのような環境だと、自分自身も情熱的に働くことができ、なお良いですね。
一方、ゆるい系で頑張らなくてもいいんだよ~みたいな映画ばかりだと、大きな不満はないかもしれないけど「なんか違うな?」となってしまうわけです。
このように「本当にやりたいこと」が導き出せたら、それと合致する仕事を探すか、なければ作っていく、という流れになります。
ここまでの流れ、非常に論理的ですよね。
どうやって仕事を作るのかというのはまた別の問題として残りますが、自己分析からここまでの流れをわかりやすく解説したのは、この本の本当に素晴らしいところです。
まとめ
この3要素に分けて自分の性質を考えることはすごくおすすめです。
論理的で視覚的にもわかりやすいのは、他の自己分析手法にない大きなメリットとなります。
自分でもやってみましたが、自分の性格をカテゴリー分けできて、自己理解がもう一段高まったと思います。
しかしちゃんとやろうとすると時間がかかり、僕の場合は丸3日かかりました。
僕の場合は正月休みを使いましたが、土日の予定を完全に排除してやるなどすることをおすすめします。
ただ最初にも書きましたが、「自己分析」とだけ考えると、抜け落ちている要素があるような感じがあるので、あくまでもやりたいことを見つけるための手段として考えてみてください。
その使い方をするとかなり強力です。
ご興味のある方はぜひこの本を手にとって見てください!
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