自由ではないフリーランスの構造
- 2021.02.03
- 仕事

「フリーランス」という言葉がもてはやされていて、なんだかすごい人のように言われます。
僕も個人事業主の届けを出して働いているという意味ではフリーランスといえます。(細かい定義は今回は置いておきます)
しかし実態は言われているような自由で楽な働き方というわけではありません。
今回は「フリーランス」という働き方について考えてみたいと思います。
フリーランスはそんなに楽なもんじゃない
「フリーランス」とかっこよく呼ばれますが、その実態は自営業です。
会社に属さずに、個人として仕事してお金をもらって生活します。
企業から仕事をもらう場合もありますし、消費者としての個人へ商品やサービスを提供するという場合もありますね。
ちなみに僕は後者です。
自分で仕事を選べるし、上司もいないので自由にやれるというのはあると思います。
そして、うまくやれば会社を通さない分収入も大きくできるというメリットもありますね。
しかしその反面、フリーランスは仕事をうまく回せなければ、収入がゼロにもなります。
そしてうまく回せている人でも、明日収入がなくなるかもしれないというリスクは常に抱えながら生活することになります。
今回のコロナで仕事がなくなったフリーランスの人もたくさんいたでしょう。
一方でサラリーマンとして生活していると、たとえ仕事ができない人でも、たとえ会社が傾いてきたとしても、基本的にはその人の雇用は保証されます。
もちろん会社が倒産する危険はありますが、自分がフリーランスとなり収入ゼロになる確率と比べたら、比較になりません。
若い間の数年だけをみていて「よし、やってやろう」と考えるのもいいですが、サラリーマンに戻る気が無いとしたら、60歳になってもフリーランスとして働いていると言うことです。
そうやって何十年もフリーランスとして働いていたら、収入の危機も一度や二度じゃないはずです。
こんなかんじで、フリーランスは全てがバラ色の職業ではないのです。
自分の労働力が利益となる
フリーランスの仕事の性質を考えてみると、基本的には自分の労働力を提供することによって、対価を得ています。
サラリーマンの場合は、自分の労働力の対価として月に15万~45万くらいの給料を受け取りますが、これはその人が生活できる費用をベースに算出されています。
会社によっても個人によっても、その生産性は数十~数百倍のレベルで差があることもあるのに、給料が10倍の差もないのは、この計算式がベースにあるからです。
それに対してフリーランスの人は、自分の労働力を一度商品化します。
ウェブライターならネット記事1つ、プログラマーならプログラム、マッサージ師ならマッサージという商品になります。
その商品の市場価値分が直接収入として入ってくるため、サラリーマンとして働くよりも多くの利益を得られることが多いです。
ただ自分の扱う商品の市場価値が低い場合は、収入が限りなく低くなっていきます。
クラウドワークスのようなサイトで募集されているウェブライターの仕事などは、かなり買い叩かれていると聞きます。
1,000円の記事の仕事を2時間かけてやっていたら、自給は500円となりかなり割が悪いです。
サラリーマンのように生活コストベースで支払われる金額を決められているわけではないので、真面目に働いてこのような仕事を受けていても生活が破綻してしまいます。
そしてサラリーマンとの共通点はというと、自分が労働力を提供し続けなければ収入を得られないということです。
サラリーマンもフリーランスも労働力を提供し、その見返りとして、サラリーマンは生活コストベースで算出された給料をもらい、フリーランスは提供した商品の価値に見合った金額をもらうという構造となります。
いずれも働き続けなければ収入は発生しないのです。
とても自由に見えるフリーランスですが、その実態は来月の収入が不安すぎて働きまくるしかないということも多く、その背景にはこのような構造があります。
会社勤めだといろいろ保証があるので、鬱になったり怪我をして仕事ができなくなっても、どうにか生活を維持できる事が多いです。
しかしフリーランスだと保証が限られているので、最悪生活保護はありますが、頼るものが比較的少なくなってしまいます。
世の中の流れも非常に速く、今の仕事が今後も求め続けられるかわからない状態で、死ぬまでフリーランスで居続けるのは少々リスキーと言わざるを得ません。
労働なくして利益を得る
フリーランスの行き着く先は、ビジネスオーナーか投資家でないといけないと考えています。
よっぽど職人肌の人なら別ですが、自由を求めて勤め人をやめるのであれば、フリーランスにとどまってはだめです。
その状態はすごく不自由です。
ビジネスオーナーについて説明すると、これは自分のビジネスを持っている人のことです。
会社の社長がわかりやすいですが、大企業の雇われの社長はサラリーマンなので違います。
中小企業のオーナー社長のイメージです。
自分でビジネスモデルを持って、銀行から借りた金や、雇った人によってそのモデルを回し、利益を得ます。
ビジネスオーナー自身は自分で手を動かす必要がなく、その仕組みだけで勝手に回っていくのが理想です。
そして投資家は、資産から生み出される利益を得ている人です。
例えば土地で考えて見ると、土地そのものの価値は変わりませんが、日々その土地を利用できるという価値を生み出しています。
お菓子は食べると減りますが、土地などの資産は食べても減らないお菓子のごとく、無限に価値を生み出し続けます。
同じことが株にも言えます。
株を持つということは、企業を分割した一部を持つということです。
企業は企業活動によって利益を生み出し株主に還元しますが、利益を生み出した分企業の価値が減るかと言うとそういうことはありません。
不動産に比べて市場の評価額の変動(=株価の上下)が激しいですが、本質的には企業の価値は大きくは変わらずに利益を生み出し続けるという性質があります。
注意点としては、FXやビットコインのトレードや株の短期売買などはここでいう資産には当たりません。
通貨や仮想通貨はそれ自体が価値を生み出すということをしておらず、市場での評価が変わっているだけです。
株も長期では資産となりますが、短期では資産が生み出す利益よりも、短期的な株価の上下の動きのほうが大きいため、資産としての利益を享受できません。
ビジネスオーナーと投資家について説明しましたが、フリーランスの人はこれらを目指していくべきだと考えます。
自分が動かなくても利益を生み出してくれるビジネスや資産を、できれば複数持つことによって、本当に「フリー」になることができるのです。
まとめ
ということで、フリーランスは楽じゃないよ、という話をしてきました。
この話のベースとなっているのは『金持ち父さん貧乏父さん』という本です。
お金の仕組みについてよく書かれていて、これを読んで起業したと話している方も多いです。
しかしネットワークビジネスの勧誘にも使われている本で、内容はいいのですがそういう意味での悪評も多いです。
僕もこの本を読んだ最初のきっかけは、ネットワークビジネスの誘いを受けたときでした。(加入はしませんでしたが。。)
劇薬は薬にもなり毒にもなるということでしょうか。
ではでは、今回の話がなにかの気付きになればうれしいです。
それでは!
-
前の記事
何のためにブログを書くのか 2021.02.02
-
次の記事
2つの「自由」を個人の視点から考えてみる(消極的自由と積極的自由) 2021.02.04