『金持ち父さん貧乏父さん』が響かないほうが幸せ?

『金持ち父さん貧乏父さん』が響かないほうが幸せ?

ここ数日は『金持ち父さん貧乏父さん』を読み直していました。

というのも週に一回ある人と読書会的なことをやっていて、僕が取り上げる本として、この本を選んでいたからです。

読み直すくらいですから、僕はこの本が扱うテーマにとても興味があって、その主張にもとても納得しています。

そして、あらゆる人にこの考え方を知ってほしいと考えていました。

しかし読書会でこの本を紹介したところ、相手は内容には納得しつつもまるで興味がないように見えました。

その反応が僕にとってはすごく意外で興味深いものだったので、今日はそれについて深ぼってみたいと思います。

真逆の感想

『金持ち父さん貧乏父さん』の内容はこんなかんじです。

世の中の会社勤めの人たちは、自分が体を動かして働いてお金を稼ぎ、そしてその金を全て消費して生活する。そうやって、労働→金→消費→労働の終わりなき循環の中で生きている。しかし金持ちは「資産」を持っていて、そこからお金を得ているような構造だ。なので、勤め人として身をすり減らして生活するのではなく、資産をもってその収入で生活を支えていこう。

ちゃんと要約できているか不安ですが、雰囲気はこんな感じです(笑)

僕はこの考え方がそのとおりだと思っていて、労働を続けることが馬鹿らしいと考えています。

なので自分でビジネスを持ったり、将来的には不動産を持ったりして、「金持ち」側にいきたいと考えています。

この考え方は、行動するかどうかはあるかと思いますが、ほとんどの人がぐさっと来るのではないでしょうか。

しかし、読書会の相手は全く興味がないジャンルの話でも聞いているようなリアクションでした。

彼が言うには、「今の自分が置かれている構造は分かったけど、頑張って資産を作るメリットがあまり感じられない。そんなにたくさんのお金がほしいわけではないし、働くことにも嫌な感じは持ってないから、いまのこの状況にそんなに不満はない。というか、お金稼ぎにそんな興味がない。」らしいです。

確かに僕が高校2年でFXをはじめ、大学では株と仮想通貨に手を出し、起業も志しているように、お金が大好きなのに対し、彼はお金にうるさくなく、多くない給料の中でも貯金ができ節約好きということがあります。

なるほど、この本はお金好きのための本だったか、という気づきがありました。

同じ原体験

面白いのはこの2人には同じような原体験があるということです。

それは思春期にお金の問題にぶち当たっていた事です。

僕の場合は、大学進学前のタイミングで家にお金がなく、「私立は受けないでくれ」と親から言われたことです。

第一志望は国立大だったので、自分の進路には大きな影響はなかったのですが、それでもお金がないことで自分の進路ややりたいことが制限されてしまう事があるんだと言うことに気付き、すごくショックでした。

思えば、僕がFXをはじめたのや、大学で勉強したいことが建築から経営学に変わったのもこの年に重なります。

お金のことに真剣に取り組まないと人生が狂うと思い、必死にその答えを探そうとしていたのでしょう。

これが今のお金好きの自分につながっているのだと思います。

一方で、読書会の相手は、高校進学のタイミングでお金問題にぶつかりました。

スポーツが得意で、その強豪校である私立の高校への推薦入学が決まりかけていたのですが、お金がないという理由で近所の公立高校に行ってほしいと父親から言われました。

結果としては母親側の祖父の援助などがあって行きたい高校に行けたのですが、彼としてもお金がないと人生狂いかねないと感じていたそうです。

そう感じた先にある考え方が僕と違っていて、それは「お金は大事だから大切に使おう」という考えです。

その結果、節約が得意になって、バイト収入が主の大学時代にも貯金してまとまった金額になっていました。

そんな彼は遊びで仮想通貨を買ったりはしていましたが、基本的には投資に興味はありません。

彼の価値観からすると、リターンが返ってくるかわからない投資をするより、節約してお金に困らないようにする方が確実じゃない?という考えになるでしょう。

確かに合理的な答えだと思います。

と、そんなかんじで、同じ原体験がありながら、僕は支出を維持し収入を増やす方向に、彼は支出を減らし収入を維持する方向で、お金の問題を解決したいという考え方になったのでした。

真逆の価値観になっていて、面白くないですか?笑

「金持ち」「中流」「貧乏人」

『金持ち父さん貧乏父さん』の中で、「金持ち」「中流」「貧乏人」のお金の流れについて書いてありますので、少し紹介します。

「貧乏人」から説明すると、貧乏人は働いて得た収入を全て消費に回します。

なので収益を生み出す資産などに投資する余地など無いですね。

次に「中流」は、貧乏人より収入がある人のイメージですが、働いて得た収入が増えるのに従って消費も増やすので結局は手残りがありません。

また車や家などをローンを組んで買ってしまうので、これらの負債がさらに家計を圧迫します。

そして「金持ち」は、お金を生み出す資産をもっていて、そもそも収入を得るのに働く必要もないし、消費するものや車や家のような無駄な負債も収入よりはるかに低く押さえているので、たくさんの手残りがあります。

そして手元に残ったお金で資産を買うことによって、さらに金持ちになっていくという構造です。

なので「金持ち」を目指そう!というのがこの本の主旨です。

この詳しいことは昨日書いているので、よかったらそっちも読んでみてください。

『金持ち父さん貧乏父さん』というタイトルで、本の中でも金持ち父さんと貧乏父さんが出てくるのですが、この内の貧乏父さんはこの3種類のうちの「中流」に当たります。(貧乏人ではないところがちょっとややこしいですが)

貧乏父さんは高学歴でとても専門性がある仕事をしているにも関わらず、いつもクレジットやローンの支払いに追われていて、収入は高いにもかかわらず死んだ時に残っていたのは未払いの請求書だけだった、という状況の人でした。

生きている上でつねにお金の問題につつかれながら生きていくのはしんどいと思うので、やっぱりこの生き方は嫌ですよね。

そして彼をこの3種類の中で考えてみると、「貧乏人」に当たるのではと思います。

字面はひどいですけど、彼の話を聞いていると「貧乏人」のいいところがたくさん思いつくのです。

「貧乏人」が一番幸せな可能性

お金の問題を解決する方法として、僕は収入を増やす方向、彼は支出をへらす方向で考えたと言いました。

つまりは、収入-支出=手残り が多くなればお金問題は解決すると言えるでしょう。

「中流」の人は、ローンやらクレジットの支払いやらで支出がよくわからなくなっていて、いつの間にか収入を上回っている状態とも言えるかもしれません。

『金持ち父さん貧乏父さん』では、この解決方法として、資産を持って収入を増やす方向で考えており、僕の方向と同じだったので、僕にはしっくりきたんですね。

お金の悩みから解決されるだけでなく、労働からの開放や、会社に依存しないというメリットもありますが、それを実現するには難易が高く、失敗のリスクは低くないです。

だとすれば、労働から開放される必要性を感じなかったり、別に誰かに雇われても苦にならないという人は、支出を下げる方向で考えたほうが確実とも言えます。

「金持ち」のメリットとして、お金をたくさん使えることが思いつくかもしれませんが、これは『金持ち父さん貧乏父さん』の中で否定されています。

あれもほしい、これもほしい!という欲望に突き動かされた感情は、いつまでも満たされることはなく、この感情をもっていてはいくらお金があっても足りずに、お金から突っつかれて生きることに変わりはありません。

この状態は本当のお金持ちとは言えないため、物欲という感情はちゃんとコントロールできるようにしておくべきだと言います。

でもこの感情制御を極めると、お金が少なくてもお金問題にぶつからずに生きていけるのではと感じます。

節約志向の彼を見ていると、金持ちを目指している僕のほうが現状としてお金に突っつかれているのは明らかですしね。

難易度とかを考えてみても、手残りを残せる貧乏人が多くの人にとって理想となり得るのかもしれないなと思ってしまいます。

お金持ちへの道を志してしまった僕にとっては、もうそっち側は見えませんが。。。

さいごに

お金について書いてきましたが、お金は人生においてほんの一つの要素に過ぎません。

「貧乏人」と「金持ち」のどちらが幸せか、という議論になりましたが、手残りがあって物欲をコントロールできていれば、お金に悩まさせる問題について言えばどちらもほぼ同じくらい解決できていると言えるような気がします。

しかし人生というスケールで考えてみると、自分が使えるお金の幅によって人生の選択肢が増えます。

労働から開放されたくさんの本が読めるかもしれないし、海外に留学できるかもしれないし、世界の飢餓さえなくすことができるかもしれませんね。

物欲をコントロールできていれば、収入の中で支出を計画できるので、ローンやクレジットの支払いに追われることはありません。

海外に留学したいと思いついても、収入の規模にあっていないならその選択肢はとらない、というのが物欲をコントロールできている考え方です。

その上で、支出の幅が「貧乏人」と「金持ち」の間で大きく違うので、人生でできることがかなり変わってくるのだと思います。

倹約家の彼は、人生で多くを求めていないためその選択肢を増やす必要性も感じず「貧乏人」スタイルを選んでいて、僕は自由にありたいと思っており選択肢が狭まることが許せないので「金持ち」になることを求めているのでしょう。

前者は難度が低く、後者は難度が高いので、どっちを目指すのも理にかなっていると思います。

さてさて、たくさん書いてきましたが、皆さんはどちらのスタイルを目指したいでしょうか?

「貧乏人」という表現はひどいですが、本の中の表現をそのままつかっているだけで、全く悪いとは思ってないのでそのつもりで。(念の為)

今までは論理的な帰結として、資本家にメリットが多いと思いこんでいたので、今回の考察結果はすごく驚きました。

今回取り上げている『金持ち父さん貧乏父さん』は以下の本なのでご参考まで。