富豪になるためのルール

富豪になるためのルール

こんな本を読んでいます。

この中でフィレンツェのメディチ家が出てくるのですが、この一家の成長過程がとても興味深かったので、今日はそこから話を広げてみたいと思います。

銀行と交易で稼いだメディチ家

概要

メディチ家とはイタリアのフィレンツェという都市で、ルネサンス期にとても影響力を持っていた一家です。

銀行業などで成功し、ヨーロッパ最大の大富豪であり、当時のヨーロッパの中心と言えるフィレンツェで、政治的・経済的に中心的役割を担っていたといえます。

ルネサンスといえば文化が華やいでいたイメージですが、そのルネサンスの中心がフィレンツェであり、フィレンツェの文化発展に莫大な資金を投じていたのがメディチ家でした。

銀行業と交易で稼ぐ

メディチ家が大きくなるのは銀行業からでした。

今の銀行は、預かったお金と貸したお金の金利差が利益となるようなビジネスモデルですが、当時はキリスト教で利息をつけることが禁じられていたようで、いまとは少し違っていました。

当時のビジネスモデルは言い換えると「両替商」です。

ある通貨からある通貨へ為替レートをもとに両替しますが、その為替レートが銀行側に有利に設定されていました。

そのため両替の量が多くなるにしたがって、どんどんと利益が積み上がっていく仕組みになっていたのです。

この両替事業の利益率は年で13~26%にもなっていたようです。すさまじい。。

顧客の中には教皇庁もあったため、扱うお金も多額であり、どんどんと資産が増えていきました。

そして教皇などから預かった貯金を投資して、交易にも手広く広げており、アーモンドから一角獣の牙に至るまでありとあらゆる物を扱っていたらしいです。

そうやって莫大な資産を築いていきました。

ちなみに、ここまでの話のメインはメディチ家の中でも「コジモ・デ・メディチ」という人がやってきたことです。

学校で習う世界史ではその孫の「ロレンツォ・デ・メディチ」が目立っていると思いますが、ロレンツォは文化に傾倒しビジネスにはあまり興味がなくなっていたみたいで、後の世代になるにつれ資産は減っていく一方だったようです。

銀行業や交易で稼ぐ昔の人達

歴史を見ていた時に出てくる富豪は、貴族を除くと、メディチ家のように銀行か交易で稼いでいる人が多いような気がします。

現在のも続くヨーロッパ富豪ロスチャイルド家も銀行業からはじまり、交易などへも手を広げていったのでした。

日本の江戸時代では、大阪の淀屋橋を作り前代未聞の豪富と言われた淀屋などの「豪商」が、当時の富豪の代名詞だったと言えます。

また両替商も江戸時代にあり、この場合は大きなお金を細かくするような「両替」を行っていました。

両替商はその発展とともに貸付などにも手を広げていき、三井家や鴻池家という富豪を生み出していきました。

歴史を俯瞰すると、国内外の歴史において、銀行業や交易によって富豪が生まれている確率が高いと言えそうです。

現代の富豪は株で稼いでいる

現代に目を向けてみると、新しく生まれる富豪は自分で革命的なビジネスを作っています。

ビル・ゲイツやテスラのイーロン・マスクなんかがそうですね。

日本ではユニクロの柳井さんも革新的なビジネスモデルを作り上げて富豪になりました。

しかし、彼らが富豪となっているのはビジネスの利益からではなく、持っている株の値上がりによるところがほとんどです。

もちろんいい製品を作れば、会社が評価されて、株の値上がりに繋がり、資産が増えるわけですが、その製品が直接資産を生み出しているわけではないことは留意しておく必要がありそうです。

現実からの飛躍

これらを踏まえて富豪がどうやって生み出されているかを考えると、現実からどれだけ飛躍したか、その飛躍の中でどのように立ち回れたか、というところにあるような気がします。

僕が言いたい「現実」とは、人間活動の一番基礎的な、生活に密着したことであり、極端に言ってしまえば自給自足での生活です。

自給自足の生活から、自分は野菜を作ることに専念して、肉は道具は他から買う、となれば少し飛躍したイメージです。

その飛躍が、新しい製品を作る、会社を作って社内で分業する、広告を打つ、株式公開をする、などどんどん進んでいき、「現実」からぶっ飛びすぎて自分が社会の中で何をやっているのかわからないような状態が今なのだと思います。

しかしそんな中で一番ぶっ飛んだ業界で、よく立ち回れている人たちは資産を築けているのでしょう。

そのぶっ飛んだ業界に、古くからの銀行業や最近の富豪を生み出している「金融」や、これも古くからある「交易」があります。

今回は触れてませんが、国家・貴族というのもここに入ってきそうです。

日本に住んでいると高度経済成長期のからの影響なのか、製造業が儲かるようなイメージがありますが、日本や世界のトップ層を見てみると、商品を作ること自体にはそんなに価値がないのかもしれません。

まとめ

富豪と呼ばれる人たちは、いわば数字のゲームと言えるくらい、現実から乖離した世界でビジネスを行っていることに気付き、正直驚きました。

とはいえ僕らのような下々の民が何ができるかといえば、現実からちょっと背伸びしたビジネスを立ち上げるくらいのことなのでしょう。

現実から乖離しているということは、現実性がない分、ギャンブルのように利益の確実性がかなり低いのではないかと思います。

なので、その不確実な世界を渡っていける資産や権力がない人は、会社を作って自分の商品を持つくらいが、飛躍度としては丁度いいのではと感じました。

今回取り上げた本の主旨は、世界史を帳簿から紐解こうということで、この記事の内容とはずれますが、とても興味深かったです。

もしご興味があれば手にとってみてください。

持ってるだけで頭良さそうな表紙です(笑)