不動産の資産的特殊性

不動産の資産的特殊性

資産について、以前ブログを書いていますが、、その中でも不動産は特殊な資産だと感じています。

今日はそんな「不動産」について考えていきたいと思います。

無限に価値を生み出してくれる

不動産のメリットは無限に価値を生み出してくれることです。

例えばある土地があったとして、1ヶ月前と今とではその根本的な価値は変わらないと思います。

しかしこの1ヶ月間で、そこを使ってなにかできるという価値を生み出しています。

つまり、土地はその根本的な価値が変わらないまま、時間の経過とともに価値を生み出してくれるのです。

建物がつくとその耐用年数などを考えていかないといけないですが、不動産の根本的な考え方はそこにあります。

「資産ってそういうものでしょ?」と思うかもしれませんが、株などとは根本的な構造が違うんです。

株を持つことは企業の所有権を分割して持っていることと同じですが、その企業は人・物・金を使って商品・サービスを生み出し販売することによって利益を生み出しています。

そうやって得た利益が、配当や株価の値上がりをもって株主の利益となるのが、資産としての株の仕組みです。

なのでその根本は人・物・金で商品・サービスという価値を生み出す動きにあり、言い換えると人が働くという「労働」をベースとして、そこにビジネスモデルという仕組みを取り入れることによって、大きな価値を生み出している、と言えます。

この「労働」をベースとして価値を生み出している点で、株はいわば正統派の資産だと、僕は理解しているところです。

しかし、人・物・金がうまく動かなくなったり、そのビジネスモデルが崩れたりすると、とたんにその資産価値が失われてしまうという性質もあります。

企業は人が動かしていることもあって、安定しているとは言えませんね。

一方で不動産は、特に土地で言えば、地球が誕生した瞬間から価値を生み出し続けていると言ってもいいでしょう。

労働をベースとして価値が生み出されているわけではないので、その意味で僕は特殊な資産だと理解しています。

このように、不動産と株を同じように語られることがありますが、根本的には大きな違いがあります。

価値変動リスク

価値を生み出し続けるという点で魅力的な不動産ですが、いざ投資しようと考えると様々なリスクが存在します。

一番大きいのは価値変動のリスクです。

いくら価値を生み出し続けるからと言って、その価値がどれだけかという評価は必要です。

1,000万円で買った土地が、年で1万円の利用価値しか無いとしたら、投資対象としたらなしですよね。(それでも1,000年あれば回収できますが笑)

山奥で古い遺跡が見つかった、などという話がたまにありますが、そういう場所は昔は街があって不動産の価値は高かったのだと思います。

しかし現在は山奥で、ほぼ価値を生み出していない状況です。

したがって闇雲に不動産に手を出すのではなく、取得する価格と生み出す価値をきちんと計算しなければなりません。

また、現代では不動産を持っているだけで固定資産税がかかります。

1,000万円で年1万の価値しか生み出さない土地だと、この固定資産税でマイナスになるでしょう。

そして相続の時には相続税がかかってきます。

先祖から代々たくさんの不動産を受け継いでいると、原理から言えば取得原価がないので不動産が生み出す価値を受けとるだけのイージーゲームですが、これらの税金のせいで持ってるだけでメリットがあるということはなくなりました。

まあ政府の立場から言うと、貧富の差をなくすために資産家から資産を抜いて、国民に配っているという話にはなるんですが。

所有権がなくなるリスク

また、長い歴史で考えてみると、そもそもの所有権がなくなると言うこともあります。

不動産の所有権は当たり前に思えますが、実際は役所にあるデータに自分の名前などが書いてあって、それを国が認めているに過ぎません。

歴史を見ると、大化の改新のときに「公地公民制」という制度がありましたが、これは文字通り、土地と人民は公(=国家)の所有だという考え方で、基本的に国民に土地の所有は認めてなかったという時代がありました。

明治に入り近代的な国家が作られるまでは、基本的に土地は統治者(天皇や将軍)の所有であるという考えが根強く、実態は個人が所有している状態でしたが、制度的には所有は認めてなかったりということも多かったようです。

なので所有権が認められている現代は変わりようがない状態ではなく、国がひっくり返って国家の政体がかわると、その所有権が認められないなんてこともない話ではないでしょう。

日本の政体の変化は、国家間の争いの多い諸外国に比べると安定している方だと思いますが、それでも数百年おきに政体の変化が起こっています。

100年生きるとしたら、生きている間に政体が変わる可能性は、数十%はある計算になり、無視はできない数字です。

所有権が認められないなんて大昔の話だと思うかもしれませんが、現代で言っても、中国などの共産主義国では、個人の所有を認めていないため、土地などはすべて国のものであり、国民には貸している状態です。

子孫のことまで考えると、政体の変化もよく考えておくべき要素だと思います。

まとめ

ということで、不動産の特殊な性質についてまとめてみました。

普通に働いて給料をもらっていると、労働をベースとした資産である株式投資は分かりやすくても、労働は関係ない不動産投資はすこし理解しづらいものなのかなと思っています。

しかしその特殊性から、うまく扱えば得られるメリットも大きいので、常識にとらわれずに正しく理解することが大事だと考えています。