交易時代の差別化を転売ビジネスに応用する
- 2021.02.17
- 仕事

さてさて、今回もこの本からの話題です。
もう話が発展しすぎて、この本の内容はほぼ関係なくなっていますが(笑)
前回、メディチ家などが行っていた交易と現代の転売ビジネスの共通点と違いについてお話しました。
今回はその違いから得られる転売ビジネスへの教訓を考えていきたいと思います。
交易・転売ビジネスの仕組み
交易や転売はある商品の異なる市場間で生じた価格差に注目し、その市場で物を動かすことによってその価格差を利益とするビジネスでした。
このような取引は労働を利益のベースとしていないため、うまくやらないと利益を取り損ねてしまうビジネスでもあります。
つまり、家具作りのような労働を投入して商品を作り上げるビジネスは、労働を価値が発生する1つの根拠となっているため、少々下手にやっても価値を認められやすいです。
しかし交易や転売は、自分がどれだけ頑張ったかに関わらず、単に価格差が利益の根拠となるのです。
利益が労働に依存するということは、損しにくい反面大きく利益を伸ばしにくいという性質があり、その逆である交易や転売は利益の拡大に大きな可能性があるというわけです。
その利点をうまく使って、歴史的に交易で莫大な財産を稼いだ人はたくさん存在し、少し前までは日本の商社がこの交易によって一時代を築いていました。
しかし様々なテクノロジーの進歩があって、交易ビジネスは利益がとりづらいビジネスへとだんだん変わっているのは前回書いたとおりです。
商社も交易であるトレーディング事業から、だんだん投資事業へとシフトしているのはそういう背景があるのだと思われます。
ただその流れのおかげで、僕らのような個人でも転売という名前に変えて、交易のようなことを行えるようになりました。
しかし間口が広い分競争は熾烈であり、過去の「交易」という言葉が持つようなキラキラした雰囲気はなくなっているという現状があります。
ライバルを減らすこと
前回の結論になりますが、転売が大儲けできないビジネスになっているのは、競合が多すぎることにあります。
競合が多いとどうしても価格競争になってしまい、特に物を動かすだけのビジネスだと動かす物量が利益に直結するので、利益率を減らしてもたくさん売りたいという心理が働いて、価格競争になりやすい業界でもあります。
なのでいかにライバルのいない領域で戦うのかという「差別化」を考える必要があります。
差別化
マーケティングで使われる「差別化」は、メーカー視点でどのような商品を作れば他社と差をつけ、顧客を囲い込めるか、と語られることが多いです。
しかし転売視点に立つと、商品を作るわけではないので、商品自体の差別化ではなく、流通経路や広告などの分野で差別化していくことになります。
競合が力を入れていない部分を自分の強みとすることによって、その強みからメリットが得られる顧客をまるっと囲い込むことができます。
そうなれば価格競争につきあわされる必要はなくなるというわけです。
仕入
まず考えられるのが仕入を差別化することです。
転売をやっている人は、ネットを使う人は楽天などのモールを、実店舗で買う人は大手量販店を使うことが多いと思います。
それを差別化目線で見ると、モールではない自社ネットショップを探すだとか、実店舗でも個人経営の店に行ってみるというのもありです。
僕は多少英語が使えるため、海外から仕入れるという差別化をしています。(とはいえこの程度ではたくさん競合がいますが)
このくらいなら個人でもすぐにできますが、もっとビジネス的に考えてみると、住んでいる地域にある工場や卸とつながって、商品を仕入れてみたりするのもいいかもしれません。
また、もう転売ではなくなっちゃいますが、仕入視点から見ると自分の商品を作ってしまうというのが最強です。
自分以外にその商品を作れる人がいなくなるのですから。
販売
もう一つ差別化しやすいのが販売面です。
転売をしている人は、メルカリなどのフリマサイトや、アマゾンなどのモールで販売している人が多いかと思います。
僕達は基本消費者なので、物を買う方法はたくさん知っていますが、物を売る方法はあまり知らないため、主要な販売方法は限られています。
しかし、例えば自分のネットショップを作ってみるとか、実店舗を持つという選択肢もあり、僕らが商品を買っているのと同じだけ売る方法があるはずで、もっと視点を広げれば自ずと差別方法が見つかるでしょう。
ただ、転売は基本的に消費者に対して商品を売りますが、交易で財をなした人々は卸などの企業向けに商品を売ることで、多くの物量を動かしていました。
なので、ちまちまと販路を広げるのもいいですが、多くの商品を動かせるポジションを得るためにはどうすればいいかという視点も必要でしょう。
言語
そして普通の人が知らない言語の国から仕入れるなんてパターンもあるでしょう。
アラブの国から仕入れるなんて、言語の壁をクリアできればかなりありだと思います。
しかし英語はもうほぼ差別化できないと考えていいかと思います。
英語を話して商談をするのであればまだ言語の壁としてありますが、ネットショップで商品を買うくらいでししたら、Google翻訳も使いながらどうにかできる人が多いです。
言語の壁が高ければ高いほど、その市場は分断の度合いが大きいと予想できるため、大きな価格差を得ることができる可能性が高いです。
仕入についてだけ話しましたが、海外に向けて販売するという選択肢もあります。
他の人ができないこと・やらないこと
いろいろ書いてきましたが、基本的には他の人ができないこと、やらないことをやっていくと差別化できます。
広告の戦略を変えるとか、専門知識や資格が必要な商品を扱うとか、そういうことを少しずつずらしていくと、利益率が改善していくのです。
販売面の話で企業向けに販売するのがいいと書きましたが、ただ企業に販売するだけでは商社や卸とやっていることが同じで負けるだけなので、ここでもできないこと、やらないことを考えて差別化する必要があります。
さいごに
差別化戦略について書いてきましたが、これらをゼロからはじめた僕が考えられるのも、それだけ転売の間口が広かったからだと言えます。
競合が多いということは、それだけ始めやすいということなので、最初の段階ではまずはまわりをまねてやってみるのが一番です。
そこからなかなか利益が出ないということに気付き、自分独自の路線を作っていくという流れがいいです。
「守破離」という言葉がありますが、まさにこれですね。
はじめは真似することからはじめて、それができたら少し型を破ってみて、そして離れて自分のやり方を確立していく、というやり方が成功しやすいでしょう。
転売に関してはいろんなビジネスがある中でかなり難易度が低いものの1つだと思いますし、それに関する情報は到底見きれないほどあります。
最初はまねてやってみるのが一番ですが、そうやって入ったところは自分と同じような競合がたくさんいるということも知っておかないといけません。
なのでいつまでもその転売にとらわれてはいけなくて、最後には離れていく必要があります。
さいごに②
転売のことはあまり書かないようにと思っていたのですが、本を読んだ流れで思わず書いてしまいました。
「転売」はゲーム機やマスクの買い占めなどもあり、あまりいいイメージを持たれていないですからね。
もう転売について書いてしまったし、またその社会からの目線についても書ければいいなと思います。
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