資金繰り改善のための仕組みづくり
- 2021.02.22
- 仕事

前回に引き続き、零細企業の会計について考えていきます。
零細企業の経営で大事なことに、「利益」と「資金繰り」があるとお話しましたが、今回は「資金繰り」について深堀りしていきます。
資金繰り表を作成する
資金繰りをスムーズに行うためには、資金繰り表を作ることが手っ取り早いです。
毎月の収支が安定していて銀行口座には3ヶ月分の支払いができるくらいのお金があるのであれば、この表は必要ないかもしれません。
しかし、そんな企業は多くないので、ほとんどの企業にとってこの資金繰り表は役に立つものになると思います。
月次と日次
一般的に資金繰り表というものは月ごとに分けて記入していきます。
資金繰り表の細かい作りの説明はここでは省きますが、月ごとの収支を予測していって、資金がなくなる月を予測することができます。
また一日ごとの資金繰りを管理する日次資金繰り表というものもあります。
入金された金をすぐに支払いにあてないといけないような、ギリギリのところで資金繰りをしている会社は、月別では大まかすぎると思います。
うちの会社の場合も15日と月末というまとまった外注費支払いがある日や、25日の給料支払の日に資金繰りが苦しくなることが多いので、月別ではちょっと危ういです(笑)
このような慢性的に資金繰りが悪い場合は、少し手間にはなりますが日毎の資金繰り表を作ることによって、毎日の現金の増減を把握することができます。
出ていくお金と入るお金を予め予測して入れていく
資金繰り表の作り方は単純で、出ていくお金と入るお金の予定を入れて、計算していくだけです。
ネットで探せばエクセルの雛形がたくさん出てきますが、複雑なものではないので、会社に合わせて自分で作ってもいいかと思います。
もちろん未来のことなのでわからないことも多いと思いますが、それでも仮の数字を入れていくことが重要です。
ざっくりでも数字を入れることによって、お金の動きがなんとなくでも見えてきます。
確定した数字はすぐに反映させていく
そして数字が確定したら資金繰り表に書き入れていきましょう。
ここで大事なのが、過去に入れた数字と実際の数字がどれだけ差があったか見ることです。
大きな差があったのなら、なぜ差が出たのか、もっと精度を高められないか、など考えることで、これから作る資金繰り表の精度を上げることができます。
足りない時の手段を用意する
資金繰り表をつくて、未来のお金の増減が見えてきたら、資金がショートしそうなところでどうするか手立てを考えなければなりません。
それにはいくつか方法があります。
銀行からの借り入れ
まず真っ先に思いつくところとしては、銀行などの金融機関から借りることです。
もしかすると銀行からの借り入れというと数年単位の長期の借り入れをイメージするかもしれませんが、短期の資金繰りのための数ヶ月の融資もしてくれたりします。
うちの会社が少し前にやったのは、すでに契約をもらっている案件をベースに、その原価分を融資してもらいました。
個人からの借り入れ
また金融機関ではなく個人からの借り入れという手段もあります。
社長や役員など社内の人や、親戚・友人などもあるでしょう。
しかし、個人からのお金に頼り始めると、もう後戻りできない段階まできている感じがします。
うちの会社もほぼ潰れかけていた時期がありましたが、その時に社長が周囲の人からお金を借りまくって、たくさん揉め事を作りました(笑)
潰れなかったのでまだ良かったのですが、これで倒産していたら社長のまわりの人間関係はもう崩壊していたといいってもいいと思います。
相手からお金をかそうと提案してくれるくらいならいいかもしれませんが、こちらからお願いするのであれば、それは最後の手段くらいに思っていたほうがいいです。
積み上げてた資産の切り崩し(保険積立、経営セーフティー共済)
資金繰りが回らないときのために資産を積み立てておくという手段もあります。
メジャーなのは保険や経営セーフティー共済です。
うちはやってないので詳しいことは話せないのですが、節税などによく使われるこれらを、資金繰りにつかっている会社は多いようです。
使ってない銀行口座に少しずつ積み立てていても、いつの間にか資金繰りに使ってしまった、なんてことはうちの会社ではよく起こってました(笑)
それが保険や共済の支払いとして目の前から消えるのは、感覚としては費用に近い感じで積立を行うことができます。
それらを崩す手間もあるので、いつの間にかなくなっているなんてことはないので、いい方法だと思います。
入金を早め、支払いを遅らせる
経営の鉄則として、売上金をできるだけはやくもらい、支払いをなるべく遅らせる、ということがよく言われます。
この鉄則を資金繰りがやばいときにも当てはめ、売上金をはやくもらい、支払いを遅らせてもらえないか、交渉するという選択肢もあります。
言うのは簡単ですが、これを行うのはなかなか難しいでしょう。
とはいえ、社長同士で仲良くなっていたりすると、この辺の相談もできるようになるのかなと思います。
あまりやりすぎると「あそこの会社大丈夫か?」と絶対思われますが(笑)
日々仕組みを回していく
そして一番大事なのが、これらの仕組みを日々きちんと回していくことです。
こういうもしもの時に備えることって、なかなか優先して行えないんですよね。
今日締切の見積書があると、なんとなくそっちに気が行ってしまいます。
しかし、日々資金繰りの状況を確認し、回りそうにない時は早いうちに手を打つことで、資金繰りに対するストレスは大きく下がりますし、倒産リスクも低くなります。
そのために、毎日のルーティンの中に資金繰りのチェックと対策の項目を入れて、実施していくのがいいと思います。
さいごに
日々の資金繰りを考えていくことはとてもめんどくさいことです。
しかし、たとえ赤字を垂れ流していたとしても、資金繰りが回っている限りは会社が倒産することはありません。
逆をいうと、いくら黒字を出していても、資金繰りにつまづくと会社は簡単に倒産します。
それだけ資金繰りというのは重要です。
重要ではありますが、仕組みがうまく回りだすとほぼ考えずに済む話でもあります。
なのでうまく仕組みを作って、資金繰りのストレスから開放されましょう!
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